分割出願 特許出願・申請の分割とは?
分割出願 特許出願の分割とは
特許出願書類の明細書などに2つ以上の発明が記載されている場合に、その出願の一部を新たな出願として取り出すことを
といい、取り出した新たな出願を といいます。特許出願の審査段階時における分割出願
例えば、特許出願の審査の結果、審査官により通知される拒絶理由通知では、特許請求の範囲に記載した複数の請求項のうちの一部のみに拒絶理由が見つかりましたと通知される場合が多々あります。
このような通知を受けて、拒絶理由を指摘されなかった請求項についてはどうしても早く権利化しておきたく、拒絶理由を指摘された請求項もあきらめるわけにはいかないといったときには、特許出願の分割が可能です。
この場合には、もとの出願では拒絶理由を指摘された請求項を削除する補正をおこなって早期権利化を図るとともに、拒絶理由を指摘された請求項については、もとの出願時にしたものとみなされる新たな分割出願をおこなって、落ち着いて別途権利化を目指します。
また、特許出願の分割は、特許請求の範囲に2つ以上の発明が発明の単一性という要件を満たさずに記載された場合に、一部の発明を抜き出して新たな分割出願として拒絶理由を解消するためや、最後の拒絶理由が通知され補正できる範囲が限定されてしまって補正が難しい場合に、新たな分割出願とすることでその補正したかった発明での権利化を可能にするためなどに行われます。
拒絶査定不服審判と分割出願との関係
特許出願の審査の結果、拒絶理由が解消されず拒絶査定となってしまった場合に、拒絶査定不服審判を請求しなくても、最初の拒絶査定の謄本の送達があった日から3か月以内であれば、拒絶査定対策として特許出願の分割を行って新たな分割出願で勝負し直すことも可能です。
拒絶査定不服審判を請求して権利化を図ろうとする特許出願は重要である場合が多く、また拒絶査定を確実に取り消せる補正をして審判請求を行うというのは簡単ではないので、審判請求が認められず権利化断念とならないよう念のために、拒絶査定不服審判の請求と特許出願の分割をあわせて行うことで、分割出願による別途権利化の余地を残しておくという対策も考えられます。
なお、この場合には、拒絶査定不服審判の結果を待ってから分割出願に対応できるようにするために、所定の要件を満たすことにより、審判の結果がわかるまで分割出願の審査を中止する運用が令和5年(2023年)4月1日から行われています。
原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止の運用について(特許庁)
特許査定後の分割出願
特許査定の後でも、特許査定の謄本の送達があった日から30日以内であれば、特許出願の分割が可能です。先に特許権が設定登録されると分割出願ができなくなりますので、1~3年分の設定登録料納付のタイミングに注意する必要があります。
特許は必ずしも望んだ発明の内容で認められるとは限りません。例えば早期権利化のために不本意ながら特許請求の範囲を限定して特許査定がされたけど、もっと広い範囲で権利化を図りたい場合などには、特許出願の分割を行えば新たな分割出願で勝負することが可能になります。
また、分割出願をとりあえずしておけば、将来的に、特許で保護を図ろうとする自社製品が設計変更、仕様変更されても権利範囲に含まれるように、ライバル会社の競合製品の内容が明らかになった場合に自社の特許でうまく対応できるように、補正で調整できる可能性を残しておくことができます。
特許査定後に分割出願する場合には、補正による調整は、原出願の分割直前の明細書等に記載された事項が記載されていれば、その範囲内で可能になります。
特許出願の審査を経て特許査定、拒絶査定になる流れについては、特許出願の流れをご参照ください。
特許出願の分割の要件(特許庁)(pdf)
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