審査請求料の納付繰延の実施期間延長

審査請求料の納付繰延の実施期間延長

特許出願が進歩性などの実体的な要件を備えているか、特許権を与えてもいい要件を備えているかどうかについて、特許庁の審査官に審査をさせるためには、特許出願とは別に特許出願の日から原則3年以内に出願審査請求書を特許庁に提出する必要があります。
もし期限内に出願請求書を提出しなかった場合には、特許権が与えられることはなく、特許出願が取り下げられたものとみなされてしまいます。

出願審査請求書を提出する際には、通常、同時に審査請求料として168,600円 +(請求項の数× 4,000円)を納める必要がありますが、この審査請求料について、現在、景気悪化による資金的な負担を軽減するための緊急的な措置として、納付繰延制度が設けられています。

特許出願してからもうすぐ3年経つから出願審査請求をしないといけないけど、審査請求料を払えるほど今はお金に余裕はないから特許権利化をあきらめざるを得ないという場合であっても、納付繰延制度を利用することにより、所定の要件の下、審査請求料の納付を1年間待ってもらうことが可能です。

この納付繰延制度は、制度を設けた当初、平成21年4月1日から2年間の実施を予定していたそうですが、景気の足踏み状態が続いていることなどから更に1年延長され、平成24年3月31日まで実施されることが特許庁から発表されました。
「審査請求料の納付繰延の実施期間延長について」(特許庁)(リンク先消滅しました。)
「審査請求料の納付繰延制度について」(特許庁)(リンク先消滅しました。)

納付繰延制度が有効に活用されることで、少しでも多くの本来権利化されて保護されるべき発明が救われることを望みます。
納付繰延制度の利用を希望される場合は、特許出願を依頼された特許事務所にお問い合わせいただくのが一番ではないかと思います。

追記:審査請求料の納付繰延制度は、制度の趣旨からして、出願日から3年である出願審査請求期限が近づいてきても経済的な事情から審査請求料を支払えず権利化を断念せざるを得ない場合などについて救済することを主な目的としていると考えます。

基本的には出願審査請求期限までまだ余裕がある場合に考慮するものでなく、例えば審査請求期限日ぎりぎりで納付繰延の意思表示をした「出願審査請求書」を提出すれば最も長い審査請求料の繰り延べの効果を得ることが可能です。

早く特許庁による審査を望む場合には、出願審査請求書をなるべく早めに提出したほうがいいという考え方もあるとは思いますが、例えば中小企業、個人事業主が出願人の場合には、納付繰延期間中に審査請求料を支払って早期審査を申請すればその問題はほぼ解決できます。
早期審査を出願審査請求と同時に申請する場合には納付繰延制度が利用できないというだけで、納付繰延制度を利用しても繰り延べされた期間内に審査請求料を支払えば早期審査の申請は可能です。

なお、審査請求料が2011年の夏にも引き下げされる方向で検討されているとの報道がありますが、実現したとしても半年以上先の話であり、それはまだ半年以上審査請求期限に余裕がある代理人などが考慮すべき事情にすぎません。

景気の低迷が続く中、積極的に中小企業や個人事業主の特許出願人は審査請求料の納付繰延制度の利用を検討されるべきであると思います。

追記(2020年11/2):
審査請求料の納付繰延制度は既に終了しています。
現在の出願審査請求制度については特許出願・申請の出願審査請求とは?審査請求のタイミングは?で説明しています。

2011年01月04日 |

カテゴリ: 特許関連


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